2007年08月12日

リードと楽器 (1)

60年のクラリネット生活の中で何本の楽器とリードが私にまとわりついてたかと思うとゾッとする。楽器は丹念に想い出しながら数えていくとその数と種類はどうにか分かる気がする。

クラリネットはA管とB管があって、通常ジャズの世界ではB管を使用する。クラシックの世界ではA管も多用する。ピアノのラの音がクラリネットのドの音に当たるのがA管であって、貧しい学生時代にはB管で半音下げて譜読みして吹いていたものである。何しろ買えなかったのだから。

その時持ってたのが中央に継ぎ目のないB管で尤も下のE♭のキーが1本ついていて学校のオーケストラで「未完成」や「フィンガルの洞窟序曲」「ブラームス」などを吹いていた。難しい作業だったが若かったなあ、瞬発力があった事は今でもなつかしい。

私のCDに入っている「ブラームス五重奏曲」は2本目のA管で吹いた。コンクールで吹いた「モーツァルトの協奏曲」は、最初に手にしたA管であった。

posted by 藤家虹二 at 15:37 | TrackBack(0) | 日記

2007年08月09日

還暦

来る8月18日(土)にパイロットクラブという団体に依頼されてのチャリティコンサートがある。

以前から言ってるように今年はクラリネットを手にして60年の節目に当たる。そんな訳でこの企画に便乗して“クラリネット還暦”というサブタイトルをつけてみた訳ではある。楽器を手にして吐いて吸って60年が経った訳で、まあ、よく続いたものと本人が驚いてる。

それにしても最近楽器を手にしてしみじみ思うのは“実に下手になった”事であり、昔読んだゲオルグ・ショルティ(大指揮者)の自伝である。

「老いて来ると筋肉その他の老化によって演奏技術は著しく退化する」
「その事に団員のベテランプレイヤーは気付かない」
「演奏技術のレベルを保持する為には若い時の3倍は練習しなければならない」

御高説御尤もである、と頭では非常によく理解できる。然し凡人の悲しさ、サボりのテクニックというか要領の良さは優れて来ていて中々トレーニングは中々!!又々人前で大恥でもかかにゃ分かるまいとは悲しいサガではある。

posted by 藤家虹二 at 19:50 | TrackBack(0) | 日記

2007年08月07日

日本のうた (2)

色んなドラマや番組でもそうだが、NHKの出演者は殆どがオールスター番組である。件の「BS 日本のうた」もそれに近いものがあって実に豪華であった。

中でも大月みやこは16〜17才頃のデビュー以来よく知ってて、TBSのラジオ番組「オーナー」(生番組)でそこにゲストとしてよく出演し、本当に可愛い娘が実にウマい歌を唄っていた記憶は鮮明である。

男性の平浩二、実に歌唱力のある人で「バスストップ」を始めとして口の悪い私なんぞは一連のレパートリーを「盗作シリーズ」と呼んでいたものだ。彼がもしジャズシンガーになれば可成りいい線をいくものと思ってる。

この番組の編曲・指揮をしたのが京建輔さん、以前クラリネットを吹いてたとか、そして当時の私のバンドのピアニストだった栗林に連れられて私の家を訪ねて来た事があるとか、とても几帳面な仕事をしてた、という印象が強かった。

posted by 藤家虹二 at 19:02 | TrackBack(0) | 日記

2007年07月21日

日本のうた (1)

久し振りにNHKに依頼されて“BS 日本のうた”に出演した。

所は島根県浜田市。超強行軍スケジュールで、広島迄飛んでそこからチャーターしたバスで約2時間の行程で着くやいなやリハーサル・本番、終わって逆コースで広島へ。昔なら何でもない事だが今は骨身にこたえたものだ。出番は終わりの2曲、つまり待ちに行った訳である。

閑話休題、放送日当日本人はケロっと忘れててTVの時代劇を見てる有様、そして一週間后の再放送は又も忘れてオールスターを見てた。最初のオンエアのあと、沢山の電話と手紙を頂いたが、番組の関心の高さに驚いたものである。

中で嬉しかったのは姿勢が良かったというもの。日頃私の教室で、口を酸っぱくして言ってるのが姿勢のこと。息の無駄遣いを防ぐ為もあるが長時間吹いても疲れない利点もあるし余計な所に力が入りにくいという事もある。

出演者の中になつかしい顔も沢山あった。以下次回。

posted by 藤家虹二 at 04:30 | TrackBack(0) | 日記

2007年07月17日

時代劇考 (3)

私の見てる“時代劇専門チャンネル”勿論色々なタイプのドラマがあるが、今、私に最もウけているのが渡辺謙・若村麻由美・岸田今日子による斬(残)九朗のドラマである。これが滅法面白い。江戸の風物もよく描かれているし、岸田今日子の心憎いばかりの芝居っぷり、そして若村麻由美の粋な辰巳芸者(別称ハダシ芸者)は思わずヨダレの出そうな程の上等な女っぷり(他に宝塚出身の佳那晃子の芸者姿も美しいが)は一見の価値あり。

渡辺謙は徳川家にまつわる十八松平のくせして武士としては最低の家格での貧乏御家人役で、いわゆる現代のプータローのようなもの。この役が何故かピタリはまってて、その上筋立てが面白い(いわば極度の他愛のなさ)のでついつい引き込まれてしまう。

音楽の佐藤勝もこの世界での超ベテラン職人技で軽いジャズムードがとても粋である。

江戸前の人情劇も無駄がなくてベリーグッドドラマである。

posted by 藤家虹二 at 23:56 | TrackBack(0) | 日記

2007年07月07日

時代劇考 (2)

時代劇はおおむね好きだが、積極的に見ようとしないのがいわゆる任侠もの、つまりやくざものである。義理と人情が売りものであるが、その大半はそれを失っている人種の話であって、それは現在のヤクザ映画も同じ。その仁義は親分・子分の世界にのみ生きていて一般人(つまり彼等のいう堅気の衆)には殆ど関わりはないのである。

ひと昔前には私もヤクザにやられたからよく分かっているが、犯罪として立件出来ないようであれば警察も介入はしてくれない。

それはさておき、大ヒットした「木枯し紋次郎」でさへ余り見たいとは思わないし、「次郎長三国志」も又然り。裏長屋の住人の下世話な人情話や武家社会の暖か味や冷たさ、筋の通った「道」としてのきびしさ・やさしさが全くないのであって、只ひたすら親分に対する忠義と縄張り感覚のみが主題であり、今の木っ端役人社会と相通じるものが感じられて仕方ない。

posted by 藤家虹二 at 23:30 | TrackBack(0) | 日記

2007年07月03日

時代劇考 (1)

以前話した事があると思うが、現在“時代劇専門チャンネル”に可成りハマっている。このドラマを見るに、私の評価尺度は可成り他愛のないもので、

(a)面白い事、
(b)人間の情感が溢れている事、
(c)他愛の無さも必要且つ大切なエキスである。

こういう事であるが、主役は大抵大スターである。然し重要な役廻りは主役級の“悪役”であろう。この役者がつまらないとドラマは死んでしまう。だけど居るもんですぞ。魅力一杯の悪役達。印象に残る人を列記してみよう。

田口計(芝居も上等)、青木義朗(まさに一級品)、小林勝彦・菅貫太郎(声が素晴らしい)、内田勝正(実像はとても素晴らしい人。一度ノんだ事がある)、藤岡重慶・立川三貴・南原宏治・河合伸旺、等々多士済々である。

他にも多くの役者がいるがこれ等の人達でドラマが成り立っているといっても過言ではない。時代劇を見る時、これらの役者達にも大注目を!!

posted by 藤家虹二 at 00:16 | TrackBack(0) | 日記

2007年06月23日

クラリネット人生

クラリネット還暦の事は以前にも触れたが、60年と一口に言っても矢張り長い間吹き続けた気は充分にする。

来る8月18日、内幸町ホールでのパイロットクラブのチャリティコンサートにノっかった形でクラリネット還暦コンサートにして貰うことにした。プログラムの中には、私が初めてジャズを始めた頃の曲も数曲以上盛り込む事にしているが、何はともあれ、この間何本のクラリネットを取っ替え引っ替え吹いただろう。正確には記憶してないが28才の時に手に入れたセルマーのセンタードトーン・オメガを30年以上もの長い間吹いてた事は記憶に新しい。実によく鳴るモノであった。大部分のCDはこの楽器がモノしたもので、今のゴールドはまだ数年にしかならない。

すべからく楽器は女房と一緒で長い間使いこなす事が肝要、とは余りデカい顔して言ってはいられないかもね。

posted by 藤家虹二 at 00:02 | TrackBack(0) | 日記

2007年06月19日

ラストダンスは私に (2)

このレコードは翌年レコード大賞特別歌唱賞を獲ることになる。勿論、訳詞 岩谷時子(おトキさん)、編曲 藤家虹二で記録に残っていて、発売元の東芝レコードからは2年続けてヒット賞(銅と金)を頂いた。

ここからが私のグチで、編曲の仕事を始めて間もない私が編曲印税なんて知る由もなく、一曲5,000円(税引き4,500円)、裏表で手取り9,000円で終わってしまった事。百数十万枚売れた事を思えば思わず「チクショーッ」であった。ま、仕方ないけど。コーちゃんの

レコードに関していえば、松井八郎さん(とてもシャレたジャズピアニスト)の作った10インチのLPに入れた編曲「冬の蛍」が私は一番好きでコーちゃんの歌の魅力が一杯に詰まっている作品と思う。

何しろ、おトキさんとコーちゃんのコンビは実に絶妙で以後数多くのヒットを産んでる。殆どカスんでるが、私は「あなた」という曲をずい分あとに作って実に細々と生き永らえてるよう。

posted by 藤家虹二 at 01:18 | TrackBack(0) | 日記

2007年06月18日

ラストダンスは私に (1)

コーちゃん(越路吹雪)が亡くなって何年経つだろう。生前の彼女とは可成り一緒に仕事をした。主としてレコーディングだが、その中でもベストワンは表題の曲であろう。

もういつの事かトンと記憶にないが深夜赤坂にあったKRCスタジオだったと記憶してる。私の編曲と私のバンド(当時はギターがいたので6人バンド)で2曲。(つまりレコードの裏表。当時のEPである。)マイナーで始まってメジャーで終わるギターの演奏によるイントロ、間奏はクラリネットが吠えまくるもので新宿当たりの有線でノみながらバーではじめて聞いた時はビックリ。

確かコーちゃんの初のレコード・ビッグヒットになった。最初の「あなた」という歌詞を聞いた時「コーちゃん、これヒットするよ」予言したのは覚えている。

のちに旦那になった内藤氏のアレンジに変わって(内実はダリダの再現)私のものは殆ど聞くこともないがなつかしい想い出である。

posted by 藤家虹二 at 15:50 | TrackBack(0) | 日記