ロジャースの音楽は何よりも猛烈メロディアスな所が魅力であると私は思う。
制作者(プロデューサー)の凡ゆる所に張りめぐらした神経の細やかさが目立つ。楽隊にとってこれだけ濃い音楽を目の当たりにされると「万才」である。誠に結構ずくめのミュージカルである。
物語としては他愛も無いものであるが、流石に音楽の力というのはその他愛も無いストーリーの情感をグーンと盛り上げて迫って来るのである。そして何より仕事の丁寧さというか、ひとつのBGMの済みから済み迄配慮の行き届いた編曲そして演奏はさすが、という他はない。
すべからくシンセサイザーの多い最近の音楽状況の中でこんな音楽が主役のミュージカルを聴いているだけで心休まる思い。それだけに尚更このミュージカルはストーリーの他愛の無さなどはどこかにフッとんで心に迫るものがあるのかも知れない。
ドラマの中に占める音楽の存在というものを最近素晴らしい音楽を作る人が増えてるだけに制作者にはもっと考えて欲しいもの。