60年のクラリネット生活の中で何本の楽器とリードが私にまとわりついてたかと思うとゾッとする。楽器は丹念に想い出しながら数えていくとその数と種類はどうにか分かる気がする。
クラリネットはA管とB管があって、通常ジャズの世界ではB管を使用する。クラシックの世界ではA管も多用する。ピアノのラの音がクラリネットのドの音に当たるのがA管であって、貧しい学生時代にはB管で半音下げて譜読みして吹いていたものである。何しろ買えなかったのだから。
その時持ってたのが中央に継ぎ目のないB管で尤も下のE♭のキーが1本ついていて学校のオーケストラで「未完成」や「フィンガルの洞窟序曲」「ブラームス」などを吹いていた。難しい作業だったが若かったなあ、瞬発力があった事は今でもなつかしい。
私のCDに入っている「ブラームス五重奏曲」は2本目のA管で吹いた。コンクールで吹いた「モーツァルトの協奏曲」は、最初に手にしたA管であった。