私の60年のクラリネット人生で最も泣きを見て来たのがリードである。
例えばリードを一箱(10本入り)を買ってそのうちコンサートなどの本番で使えるものが何枚あるか、という事は皆も知っての通り。私の場合一枚でも大ヒットするのがあればいい方で一箱丸ごとダメな事もある。残りの中で多少とも吹ける物を練習などで使ってみるがこれが仲々切ないものがある。
所が、最近知り合った花井宏維さん、定年で会社は退いたがその前からリードの研究を進めていた人。アマチュアながらクラリネットが好きで自分でもよく吹く人でその頃からリードの無駄に気付いて「何故だろう?」が始まったらしい。所詮リードは葦という植物だからその中に悪い繊維がある筈。ならばそれを断ち切ればいいのでは、という事に気付いた。その維管束(と彼は呼んでいる)のチャンとした処理が出来れば、と考えてその道具(リードの本性を探るための)を開発して特許を取った。